5595 東証グロース(情報・通信)
QPS研究所
企業情報
新規上場会社紹介レポート
事業内容(レポートから抜粋)
開発・製造した小型SAR衛星により地球観測データ・画像を提供
QPS研究所は、重量100kg級の小型SAR衛星を開発・製造し、複数の衛星を地上から500km程度の低軌道に打ち上げて衛星コンステレーションを構築し、それらの衛星により取得した地球観測データ・画像の提供を行う「地球観測衛星データ事業」を展開している。
QPS研究所の衛星は、Space Exploration Technologies(略称Space X)等のロケット打ち上げ事業者のロケットに搭載して打ち上げられ、衛星で取得したデータ・画像は、ノルウェーのKongsberg Satellite Services等のグローバルに地上局を展開している企業を通じて提供される。
QPS研究所は小型SAR衛星の開発・製造、及び衛星により取得したデータ・画像の販売に特化しており、データ解析等は自社では行っていない。
現在、人工衛星による地球観測データの取得で主流となっているのは、光学衛星である。光学衛星は、地球から反射する太陽光を光学カメラやセンサーにより観測する。カラー画像で画像の視認性が高いという長所があるが、雲のような遮蔽物が入る悪天候時や観測地点に太陽光が届かない夜間には、観測データの取得ができないという制約がある。
これに対しSAR衛星は、衛星から観測地点に対してマイクロ波を照射し、地表で反射したマイクロ波によって対象物の大きさや表面の性質、距離等を測定する。観測地点からの太陽光の反射に頼らないため、悪天候や夜間でも常時地球を観測することができる。
一方で、マイクロ波の照射・受信に大量の電力と大きなアンテナを必要とするため、従来は重量1~2t級のSAR衛星が中心で、衛星の小型化と高い解像度の両立は難しかった。
QPS研究所の小型SAR衛星は、同社が特許を保有する小型・軽量の展開式パラボラ型アンテナを搭載することで、衛星の小型化と高い解像度の両立を可能としている。従来のSAR衛星の分解能が1m程度であったのに対し、23年6月に打ち上げた同社の6号機は分解能46cmを達成している。
QPS研究所は19年12月に実証試験機の1号機を、21年1月には同じく実証試験機の2号機を打ち上げた。商用機の3号機及び4号機は、22年10月に打上げのために搭載したイプシロンロケット6号機の失敗により喪失した。
5号機は予定していた打ち上げ事業者のVirgin Orbit社が23年4月に経営破綻したため打ち上げが延期されたが、23年6月に商用機の6号機を打ち上げている。現在は2号機と6号機の2機体制で地球観測データ・画像の取得と販売を行っている。
(2023年12月8日時点)