4489 東証グロース(情報・通信)
ペイロール
企業情報
事業内容(レポートから抜粋)
大手企業向け給与計算業務のアウトソーシングサービスを展開
ペイロール(以下、同社)グループは、給与計算のBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を主たる事業としている。
同社グループの給与計算業務のアウトソーシングサービスは、給与・定期賞与計算業務に加えて、年末調整補助業務や地方税特別徴収補助などの季節性業務、身上異動等への対応といった人事関連業務、従業員及び各拠点との直接対応など、給与計算に関わる様々な周辺業務もサポートする「フルスコープ型アウトソーシング」を特徴としている。
「フルスコープ型アウトソーシング」は、顧客企業の人事部門が担っている給与計算業務を受託することで、顧客企業が工数削減やコア業務への特化を実現できるように支援するサービスである。同社グループは、「フルスコープ型アウトソーシング」を顧客企業に対して、「マネージドサービス」と「クラウドサービス」という2つのサービスを組み合わせて提供している。
「マネージドサービス」については、同社グループは、業務ごとの標準フローやITシステムを構築し、複数顧客からの業務をまとめて処理する専門センター(以下、「BPOセンター」)を設置して対応している。BPOセンターを活用することで、大量処理や幅広い業務を効率的に実施している。
一般的に自社内で給与計算業務を行う場合、給与担当者の退職や季節性業務による業務負担の増加、企業の成長に合わせた担当部門の増員などにより、「属人化のリスク」や「精度担保のリスク」が発生する。同社グループは、細分化された業務を、顧客企業内の担当者とは別にBPOセンターが担うことで、担当者に頼った運用を回避し、かつ精度の高い大量の業務処理を行っている。
BPOセンターでは、顧客企業の従業員および各拠点の責任者からの電話・メールでの問い合わせや、各種書類発送・回収・督促を行う業務など、顧客企業の人事部門を介することなく直接対応できる体制を構築しており、手間のかかる業務を同社グループで対応することで、顧客企業の業務効率化に貢献している。
顧客企業の従業員対応業務をBPOセンターが手掛ける一方で、顧客企業の人事部門との窓口は同社のプロセス部門が担っている。プロセス部門は顧客企業ごとに複数名の担当者を配置し、顧客企業の人事部門の要望を把握し、BPOセンターと連携して給与計算結果を取り纏め、顧客に納品している。
「クラウドサービス」について、同社グループは、パーソナルコンピュータとインターネット環境があればすぐに導入できるWebサービス(e-payサービス)を提供しており、顧客企業のシステム負担を低減している。e-payサービスでは、各種計算結果の納品、人事関連情報の管理など、給与計算に関わるサービスを簡単に利用できる形で提供している。
(2022年11月25日時点)
沿革(レポートから抜粋)
同社の創業者であり、現代表取締役社長である湯浅哲也氏は、東芝情報機器(現Dynabook)での勤務を経て、個人事業主向けの記帳代行業務の受託を目的として、89年4月にコンフィデンスサービス(旧株式会社ペイロール)を設立した。
事業が軌道に乗るなか、湯浅氏は97年に米国のAutomatic Data Processingを訪問した際に、給与計算業務のアウトソーシング業務に魅力を感じ、97年4月に給与計算業務アウトソーシングサービスを開始した。
同社は97年4月に給与計算業務のアウトソーシングサービスを開始したが、約2年間は案件を受注することができなかった。同社によると、当時の同社は給与計算のアウトソーシングに関する実績が無く、ターゲットとしていた国内の大規模企業から信頼を得る事が難しかったようである。
99年5月にインテリジェンス(現パーソルキャリア)が同社の筆頭株主となってから、受注が進んだ。インテリジェンスが同社の筆頭株主になるタイミングで、給与計算のアウトソーシング業務に特化し、個人事業主向けの記帳代行業務はエフアンドエム(4771東証スタンダード)に譲渡した。
その後、インテリジェンスの経営方針の変更等を受けて、01年12月にパソナ(現パソナグループ)が同社の筆頭株主となり、02年3月にはADP NEDERLANDが同社に資本参画し、パソナ・エーディーピー・ペイロールに商号を変更した。
08年1月には香港のプライベート・エクイティ・ファンドであるBearing Private Equity Asia Ⅲ Holdingsが同社の筆頭株主となり、08年2月にペイロールに商号を変更した。
また、08年に、同社は日本マクドナルドから従業員数10万人以上を対象に、本社だけでなく店舗における給与計算関連の業務もスコープにしたアウトソーシングを受注した。
同社は、07年頃に日本マクドナルドで課題となっていた過去数年間分のアルバイト給与の再計算に係る業務を手掛ける事で信頼を獲得した。日本マクドナルドのような大型案件を受託したことで、多くの日本企業からも実績を認知され、商談や受注が増加したようである。
同社の筆頭株主は、13年4月にジャフコグループ(8595東証プライム)が運用受託するファンドに変わり、17年6月にはクレアシオン・キャピタル(東京都港区)が運用受託するファンドへと変わった。21年6月、同社は東京証券取引所マザーズ市場に上場し、22年4月に市場区分の見直しにより、グロース市場に移行した。
(2022年11月25日時点)