4172 東証スタンダード(情報・通信)
東和ハイシステム
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事業内容(レポートから抜粋)
西日本を中心に歯科医院向けの統合システム提供に特化
東和ハイシステムは、歯科医院向けシステム提供に特化した情報サービス会社である。現在の主力製品は、歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit XR-10i」である。同製品は、機能ごとにシステムが分かれ、バラバラに運用されてきた歯科医院向けシステムを、一元的に管理・運営できる統合システムとして、東和ハイシステムが独自開発したものである。
また、東和ハイシステムは、歯科DXの実現に向け「Hi Dental Spirit XR-10i」をベースに、日立製作所(6501東証プライム)グループのAI音声認識技術と音声テキスト化技術を連携・融合させた新ソリューションである「AI・音声シリーズ」を、23年3月以降順次市場へ投入している。「AI・音声シリーズ」は今後の同社の事業拡大の牽引役になると見られる。
これらの製品は、機器等を仕入れ、自社開発したシステムを搭載した上で、顧客である歯科医院に提供されている。また、製品提供にあたっては、顧客密着型の営業サポート体制や、システムサポート、ソフトウェア保守、バージョンアップをすべて無償で行う「ソフトウェア三無主義」を特徴としている。
歯科医院が必要とするシステムには、以下の4つの機能が必要とされている。
(1)保険診療報酬の請求に必要なレセプト機能
(2)診療カルテを記録する電子カルテ機能
(3)患者に対するインフォームドコンセントに関連する機能
(4)歯科医院の運営管理を効率化する機能
一般的に「歯科医院向けシステム」と言った場合、レセプト機能を提供するレセプトコンピュータのことを指すことが多い。また、それぞれの機能を提供するシステムごとに、個別で運用されることがほとんどである。
東和ハイシステムは、主力製品である「Hi Dental Spirit XR-10i」を基幹システムと位置づけている。また、23年以降、「AI・音声シリーズ」の製品をリリースし、次の主力製品群としている。
基幹システムをベースに、インフォームドコンセント機能を提供する「i-DSシリーズ」や、歯科医院の運営管理を効率化する機能を提供する「CTIシステム」等を基幹システムと連携させることで、統合パッケージとして一元管理できるようにしている。
東和ハイシステムの主力製品である「Hi Dental Spirit XR-10i」の特徴は、電子カルテ機能を中心に、レセプト機能を統合して基幹システムと位置づけている点にある。
歯科DXの実現に向け、「Hi Dental Spirit XR-10i」をベースに、東和ハイシステムでは、日立製作所グループの技術を連携・融合させた「AI・音声シリーズ」のリリースに注力してきた。
「AI・音声シリーズ」の第1弾は、23年3月に販売を開始した歯科医師が診療中に音声で電子カルテへの入力を可能にするAI・音声電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit AI-Voice」である。従来、口腔の検査では、歯を1本ずつ検査する人と、その横で記録する人の2人が必要となる。ところが、同システムを用いると、検査する人自身が検査結果を音声入力できるため、検査結果を記録するためのスタッフを削減することが可能となる。また、会話録音及び音声のテキスト化により、診療トラブル防止に繋がるというメリットがある。
「AI・音声シリーズ」の第2弾は、23年8月に販売を開始したAI・音声歯周病検査システム「Perio chart Pro.Voice」である。国民皆歯科健診制度の導入を踏まえ、世界で幅広く使われている歯周病検査表(Perio chart)と、国際基準のWHO・FDI(国際歯科連盟)方式に対応したシステムである。同システムのメリットとしては、歯科衛生士不足という問題の解決や、歯周病治療に係る専門的検査項目の自動算出機能による大幅な検査業務時間の短縮といったことが挙げられる。
「AI・音声シリーズ」の第3弾は、24年8月に発売したAI・音声サブカルテシステム「Sub Karte-Voice」である。歯科医院が独自のフォーマットで作成しているサブカルテをiPadアプリにデジタルデータとして取り込んだ上で、日立製作所グループのAI音声認識技術と「Recware」の音声テキスト化機能を連携、融合させた点に特徴がある。これにより、院内、訪問診療先と場所を選ばずに、歯科医院が管理する患者に関する情報の音声による入力と共有が可能になる。
(2025年1月17日時点)
沿革(レポートから抜粋)
現代表取締役の石井滋久氏は1965年にレジスターメーカーであった東和レジスターに入社し、営業本部長として西日本を中心に営業をしていた。その後、東和レジスターは販売地域ごとに各営業所の責任者等に「のれん分け」をしていったが、その一環で、西日本地域の責任者であった石井氏が最後まで残っていた岡山地域にて、78年3月に同社の前身となる東和レジスター岡山販売を設立した。
設立後間もなく、日立製作所のパソコンB16と出会い、コンピューターシステム部を開設し、8インチのフロッピーディスクドライブをレジスターに取り付け、外食産業向けのオフラインのPOSシステムの開発に着手した。その後、接骨院向けレセプトシステム「師範代」等、個人顧客との接点のあるサービス業向けのソフト開発へと事業範囲を広げていった。
そのうちのひとつとして86年6月に販売を開始したのが、歯科医院専用のレセプトシステム「Hi Dental System」であった。この頃には事業の対象がレジスターだけではなくなっていたこともあり、87年8月に社名を現在の東和ハイシステムに変更した。
レセプトシステムは膨大なデータを扱うため、メインシステムとデータベースとの連携が欠かせない。それらの連携を考慮し、日立製作所の製品をベースとして開発を進めていった。そして、それまでの取引を評価され、92年3月に日立製作所の特約店となった。
その後、システムの主流が、MS-DOSからWindowsへ替わることが明確になったこともあり、新しいシステム基盤の上で稼働する歯科医院向けレセプトシステムに大きな可能性があることを確信した。そこで同社は、それまで多業種に向けて展開していたパッケージビジネスをすべて捨て、歯科医院向け製品に集中する戦略を採った。こうした集中戦略のもとで開発を続けた結果、96年4月にWindows版の歯科医院向けのレセプトシステム「Hi Dental for Windows」のリリースに至った。
患者向け周辺ソフトの開発も合わせて展開していくと、各システムを統合・一元管理する必要があることに気づき、レセコンではなく電子カルテを核として統合・一元管理を実現するシステムの開発に注力するようになった。こうして07年1月に歯科統合電子カルテシステム「Hi Dental Spirit」の販売を開始し、09年10月には電子レセプト請求ソフトを搭載したパッケージ製品として「Hi Dental Spirit XR」といったように、歯科電子カルテ統合システムを次々にリリースしていった。
上場後も製品ラインナップの拡充が進んでいった。22年2月15日に日立製作所と共同記者会見を開き、AI・音声歯科電子カルテ統合システムの協創を発表した。日立製作所のAI音声認識技術により、診療結果や発話を認識・テキスト化し、「Hi Dental Spirit XR-10i」と連携させることで、歯科医師が患者の診療中に、結果記録のためにいちいち手袋を外すことなく、音声でカルテ入力ができる仕組みを共同で構築するものである。そして23年3月、業界初の音声で操作できるAI・音声歯科電子カルテ統合システム「Hi Dental Spirit AI-Voice」の販売を開始した。
23年8月にはAI・音声シリーズ第2弾として、AI・音声歯周病検査システム「Perio chart Pro. Voice」をリリースした。この「Perio chart Pro. Voice」は、歯周病治療に関わる専門的検査項目を網羅し、自動算出機能を備え大幅な時間短縮を可能とするものである。世界で広く使われている歯周病検査表(Perio chart)と、国際基準のWHO・FDI(国際歯科連盟)方式に対応した機能を有していることが特徴で、検査結果を音声入力することで、従来2人で行っていた検査業務と記録業務を1人で完結できるシステムである。
(2024年6月28日時点)