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概要(レポートから抜粋)

1.会社概要
・一蔵(いちくら 以下、同社)は、和装事業とウエディング事業の 2 つの事業を展開している。和装事業は、業界の商習慣を打破した買い取り仕入を特徴とし、適正価格での商品提供により成長してきた。ウエディング事業では、本物志向の施設を特徴とするゲストハウスを運営している。
2.財務面の分析
・11/3期~16/3期は、売上高は年平均9.5%、経常利益は同33.1%の成長率で拡大してきた。この期間は 5 期連続増収だったが、14/3 期はゲストハウスの開設による費用先行で減益を経験した。
・他社との比較では、和装関連では、他社がマイナス成長の中で同社がプラス成長となっている。また、ウエディング関連の他社より成長性が高い一方で、自己資本比率は総じて他社を下回る水準に留まっている。
3.非財務面の分析
・同社の知的資本の源泉は、和装事業の買い取り仕入のビジネスモデルを支える、在庫の適正化や販売数増加のための仕組みにある。その結果、関係資本の顧客基盤が拡大し、更に仕入力が強化されることとなる。
4.経営戦略の分析
・対処すべき課題として、和装事業での潜在顧客である若年層の得意先リストの獲得、ウエディング事業での施行単価と稼働率の上昇、全体として旺盛な資金需要への対応が挙げられよう。
・和装事業での振袖シェアの拡大と SPA モデルの強化、ウエディング事業での沖縄の新規施設の開業準備が当面の重点戦略となる。
5.アナリストの評価
・同社の買い取り仕入のビジネスモデルは、高価な商品しか供給できなかった和装業界に対し、適正価格・適正利潤が可能であることを示したものである。また、適正利潤のために同社が行ってきた内製化のノウハウは、ウエディング事業でも活用される競争力の源泉と考えられる。
・次のビジネスモデルとして確立を目指す SPA モデルは、従来の市場縮小で疲弊してきた和服の生産地の立て直しや新たな需要喚起につながる可能性があるものとして注目していきたい。

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