5704 東証グロース(非鉄金属)
JMC
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事業内容(レポートから抜粋)
3Dプリンターと鋳造をベースとした試作・少量生産のプロフェッショナルメーカー
JMC(以下、同社)は、産業用途の試作品や少量量産品を作製し提供する企業である。これらは、樹脂を素材とする3Dプリンター、または金属を素材とする砂型鋳造と呼ばれる鋳造工法で作製される。前者はデジタル特性が、後者はアナログ特性が強い。そのため、両方を併せ持つ事業構成そのものが、同社をユニークな存在としている。
3Dプリンター出力サービスでは、プリンターの保有台数が国内最大規模であり、顧客からの要望の強い短納期に対応できる体制を構築している。
また、3Dプリンター出力サービスで培われてきたデジタルのノウハウは鋳造工程に移転され、鋳造事業の競争力の強化につながっている。複数ある工程ごとに分業する体制がとられる鋳造業界にあって、同社は鋳造の全工程において内製化を進めている。
これらにより、鋳造事業でも3Dプリンター出力サービスと同様、高品質の作製物を短納期で納入する体制を築き、早くから自動車部品作製分野への進出を果たし、鋳造事業を中心に事業規模を拡大してきた。
また、鋳造品の品質向上のために非破壊検査のノウハウを蓄積してきており、産業用CTの機器販売や産業用CTを用いた検査・測定サービスも事業化され、市場の開拓を進めている。
(2022年7月1日時点)
沿革(レポートから抜粋)
同社の前身は、現代表取締役社長の渡邊大知氏の父により92年に設立された有限会社ジェイ・エム・シーである。設立当時、光造形によるモデル作製は事業のひとつではあったが、主要事業は保険販売であった。
渡邊氏はプロのボクサーだったが、引退後の99年に同社に後継者として入社した。同氏の入社当時も保険販売が中心であったが、保険販売の限界と光造形によるモデル作製の将来性を感じ、株式会社へ組織変更をするとともに、光造形によるモデル作製の事業へ経営資源を集中していった。同99年に作製工程の内製化のために装置を導入し、3Dプリンター出力事業を開始した。
光造形によるモデル作製はデジタル技術が活用できる分野だが、用いるプラスチック素材は、割れやすい等の短所もあり、渡邊氏は早い段階からプラスチック以外の素材の可能性を模索していた。そのような時に出会ったのが、鋳造によるアルミニウムモデルの作製を行っていた現専務取締役の鈴木浩之氏であった。
鈴木氏はもともと鋳造事業を家業とする家の出身であり、家業とは別の会社で鋳造によるアルミニウムモデル作製の事業を行っていた。鋳造によるアルミニウムモデル作製は金属を素材とするため、人の手で作製を行うアナログの分野であり、多くの量を作製できないという短所があった。
取り扱う素材の範囲の拡大に留まらず、プラスチック素材と金属素材のお互いの短所を補完し合うことで新しい事業を創りあげることに可能性を感じた両者は、06年、鈴木氏の経営していた有限会社エス・ケー・イーを吸収合併して事業を統合した。これにより、3Dプリンター出力事業と鋳造事業から成る現在の状況に近い体制が確立した。
「HEARTROID」の発売と同じ15年、鋳造事業では、金属製品の非破壊検査のための産業用CTを導入した。当初は品質検査を強化することを目的にしたものだった。しかし、産業用CTによる検査・測定サービス自体が事業機会となることに着目し、17年に同サービスを鋳造事業から分離し、CT事業が立ち上がった。その結果、現在は3事業体制での展開となっている。
なお、3事業体制となった前年の16年11月に、同社は東証マザーズへの上場を果たした。
(2018年11月30日時点)