4884 東証グロース(医薬品)
クリングルファーマ
企業情報
新規上場会社紹介レポート
事業内容(レポートから抜粋)
難治性疾患の治療薬の開発会社で、製品化まで手掛けるバイオベンチャー
クリングルファーマ(以下、同社)は、難治性疾患に対する治療薬の研究開発を手掛ける大阪大学発のバイオベンチャーである。難治性疾患とは、症例数が少なく、原因不明で治療法が確立しておらず、患者の生活面への長期にわたる支障がある疾患を指している。治療薬の研究開発において、臨床試験まで進んでいるのは4件あり、製品化された薬剤はない。
同社の開発医薬品の元である創薬シーズは、組換えヒトHGF注1タンパク質である。HGFは当初、肝細胞の増殖を促進する因子として日本で発見されたが、その後の研究により、細胞増殖以外にも細胞保護等の組織の機能に作用する事例も報告されてきた。加えて対象となる細胞も肝臓だけでなく、腎臓、肺、皮膚等に対しても治療効果のあることも報告されている。
HGFは発見から長い年月が経過しているため、物質特許は既に失効している。同社は、組換えヒトHGFタンパク質を医薬品の製剤として設計・開発する過程で、製剤組成では2種類、用途特許でも1種類、都合3種類の特許を取得している(図表1)。
製剤組成では「HGF製剤」と「神経疾患の治療に適したHGF製剤」で、日本、米国等で特許を取得している。前者は長期的な保存に適するための安定性を目的とした凍結製剤である。後者は長期的な安定性に加え、神経疾患の治療に適用できるように組成を改良した凍結乾燥製剤である。用途特許はHGF製剤を脊髄損傷急性期に用いる特許である。
(2020年12月29日時点)