4124 東証スタンダード(化学)
大阪油化工業
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事業内容(レポートから抜粋)
化学業界における精密蒸留技術による分離精製分野でのリーディングカンパニー
大阪油化工業(以下、同社)は、精密蒸留分野に特化した分離精製のリーディングカンパニーである。化学業界で使われる高純度な物質を作り出すために、蒸留等による分離精製の技術が用いられることが多いが、同社はその中でも、特に精密なオペレーションが求められる精密蒸留を得意としている。
同社の技術を用いて作り出される物質は、医薬、農薬、液晶、香料、電子材料等幅広い分野に用いられている。これまで1,000品目以上(研究テーマを含めると3,000品目以上)の物質に対応してきた実績を有し、業界では「精密蒸留の駆け込み寺」とも称される。
顧客企業は化学・医薬業界を中心とした大手企業が中心であり、顧客企業の研究開発から量産までの一連のプロセスのどの段階にもサービス提供できる一貫体制が構築されており、このこと自体が大きな付加価値を生んでいる。
その一貫体制を支えるのは、創業来70年にわたって精密蒸留分野に特化してきた実績と、実績に裏付けられたノウハウの蓄積である。同社の保有設備はすべて内製によって設計・開発されたものである。設備自体がノウハウの塊であり、設備の品質とラインナップの幅の広さも、同社の競争力の源泉のひとつと言えよう。
19/9期まで同社は精密蒸留事業の単一セグメントで、研究開発支援、受託加工、プラントサービスの3つの売上区分に分類されていた。
20/9期より連結業績での開示が始まったのに合わせ、受託蒸留事業とプラント事業の2セグメントでの開示となった。
受託蒸留事業の売上高は、旧売上区分の研究開発支援と受託加工の売上高合計に、プラント事業の売上高は、旧売上区分のプラントサービスの売上高にそれぞれ相当する。
(2020年6月12日時点)
沿革(レポートから抜粋)
同社の前身は、現代表取締役社長の堀田哲平氏の祖父である堀田巍(たかし)氏が1949年に創業した大阪油化工業所である。元々造船技師であった堀田巍氏は、持っていた技術を活かし、当初、化学品を製造するためのプラントの設計及び製作を行い、プラントを販売していた。
その後、自社でプラントを保有し、顧客から化学品の製造を受託する事業を始めた。その事業の成長に伴ってプラント販売は縮小し、受託製造が事業の中心となっていった。
なお、創業当時は戦後間もなくということもあり、石炭化学全盛の時代であった。しかし、石油化学中心の時代が到来することを見越して、社名に「油化」を組み入れたとのことである。
受託を開始した初期は、ロウソクの原料となる粗パラフィンの精製が中心であった。その後、クレゾール酸、粗タール酸の蒸留も手掛け、対応品目を増やしながらノウハウや知見を積み上げ業容を拡大し、1962年には株式会社設立に至った。
株式会社となった後、順次設備投資を行い、受託できる蒸留の幅を広げていった。株式会社設立の翌63年には、自社設計の減圧蒸留装置を設置し、73年の本社工場の新築を経て、98年に有機EL材料精製対応のための昇華精製装置、2000年に高真空蒸留装置を設置した。
少量であることからしばらくは既存の設備で対応してきたが、そうした需要に本格的に対応するため、12年4月には研究開発支援のサービスの強化を目的とした研究実験棟を本社工事敷地内に設立し、翌13年4月には、研究開発用蒸留設備を設置した。
顧客企業の研究開発段階の蒸留についてアウトソーシングする流れが強まる一方、大規模生産については顧客企業自身が行うことが通常である。そうした大規模生産の支援を行うという意味で14年7月に立ち上げたのがプラントサービスである。生産設備の提供が当面のサービス内容となるが、奇しくも、同社の前身の大阪油化工業所の創業事業が再開されたような格好でもある。
こうして精密蒸留に関する一貫体制を構築した上で、17年10月に東証JASDAQ(スタンダード)への上場を果たした。
(2019年4月12日時点)