9237 東証グロース(サービス業)
笑美面
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事業内容(レポートから抜粋)
高齢者や介護家族に対するシニアホームの紹介サービス等を提供
笑美面(えみめん)は、主として、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅、グループホーム等のシニアホームを高齢者や介護家族に紹介するシニアライフサポートサービス事業と、シニアホーム運営事業者や土地オーナーにコンサルティングや情報提供等を行うシニアホームコンサルティングサービス事業を展開している。紹介先として提携しているシニアホームは24/10期末時点で9,914ホームに達している。
25/10期中間期(以下、上期)におけるセグメント別営業収益構成比は、シニアライフサポートサービス事業83.3%、シニアホームコンサルティングサービス事業(旧ケアプライム事業)16.7%であった(図表1)。以前は、シニアホームコンサルティングサービス事業に含まれていたケアプライムコミュニティサイト運営は、25/10期よりシニアライフサポートサービス事業に組み込まれるようになったため、24/10期以前の両事業の数値はに示されているように遡及修正されている。
<シニアライフサポートサービス事業のシニアホーム紹介サービス>
笑美面は、シニアホームを探している入居対象者やその家族(以下、入居検討者)を対象に、対面によるマッチングサービス(シニアホーム紹介サービス)を近畿圏と首都圏を中心に提供している。笑美面のコーディネーターが、直接取材等で得たシニアホームの詳細情報を元に、入居検討者に対して、当事者の身体状況や家庭の事情に適したシニアホームを紹介し、入居までのトータルサポート(見学日程調整、シニアホーム・病院とのやり取り代行、役所への申請手続き代行等)を行うことで、入居検討者の不安・負担を軽減している。
25年5月末時点において、大阪本社以外にオフィスと称する拠点を、近畿圏では兵庫県の神戸市と西宮市、大阪市の新大阪、難波、京橋に、首都圏では横浜市、さいたま市、東京都の神田、五反田に、その他地域では福岡市、名古屋市の名駅及び伏見に設置している。
入居対象者に関しては、患者の早期退院問題に取り組む病院のメディカルソーシャルワーカー(以下、MSW)や、高齢者の在宅介護を支援するケアマネージャー等をシニアホーム探しの“紹介パートナー”として連携し、継続的な紹介を受けている。
シニアホーム紹介サービスでは、「専門性」、「中立性」、「シニアホームを探す入居対象者を紹介いただく紹介パートナー」、「幅広いシニアホームとの連携」を軸に運営を行っている。
専門性として
笑美面では、コーディネーターが、シニアホーム紹介の“プロフェッショナル”として入居対象者一人ひとりに最適なマッチングを提供できるように努めている。コーディネーターの成功ナレッジを5~10分程度の動画にして、新人を含めた全コーディネーターが反復視聴することで、育成の効率化に取り組んでいるほか、Salesforceを活用した継続的なオペレーションの進化を図っている。
中立性として
生活保護を受給中の入居対象者や介護保険対象外の入居対象者等、手数料収入が低い入居対象者を含めて、同社は全ての相談に対応することを基本方針としており、身体状況や経済状況に合ったシニアホームの紹介に努めている。
シニアホームを探す入居対象者を紹介いただく紹介パートナーとして
笑美面のコーディネーターは、MSWやケアマネージャーに直接営業を行い、連携しているシニアホームの情報を提供する一方、退院後の入居先を探している入院患者及びその家族の紹介を受けている。同社の全紹介数に占めるMSWによる紹介数の割合は約7割であり、24/10期におけるMSWからの紹介数は8,401人であった。
笑美面はシニアホームに紹介した入居検討者が実際に入居した人数をスマイル数と呼んでおり、24/10期のスマイル数は3,550人に達した。なお、MSWからの紹介によるスマイル数の全スマイル数に占める割合が公表されている22/10期の実績を見てみると、全スマイル数2,206人に対して、その77.7%に当たる1,714人(うち、近畿圏634人、首都圏584人、その他展開地域496人)がMSWからの紹介であった。
幅広いシニアホームとの連携として
笑美面は、9,914(24/10期末時点)のシニアホームと連携し、コーディネーターが入居対象者にシニアホームを紹介できるようにしている。紹介した入居検討者が実際に入居した際にシニアホームの運営事業者から紹介手数料を受け取る仕組みとなっているため、入居検討者には無料でサービスを提供している。
笑美面は、紹介対象とするシニアホームを、有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームに限定している。厚生労働省やサービス付き高齢者向け住宅情報提供システムの調査に基づいて、証券リサーチセンター(以下、当センター)が23年秋時点の数値を集計したところ、有料老人ホームは17,833施設、グループホームは14,262施設(以上10月1日時点)、サービス付き高齢者向け住宅は8,248(9月末時点)施設となり、合計で40,343施設であった。
笑美面の直接的なサービスの提供先はシニアホームの入居対象者であるが、入居対象者を介護している家族を含めた入居検討者、入院患者の早期退院に向けての支援を要請されている病院及びMSW、空室問題を抱えるシニアホーム運営事業者にとっての課題を解消するサービスの実現を目指している。
<シニアライフサポートサービス事業のケアプライムコミュニティサイト運営>
ケアプライムコミュニティサイトは、23年3月にリリースされた笑美面とシニアホーム運営事業者との情報連携サイトであり、運営事業者が、自社の運営シニアホームへの入居者紹介に関わる情報の取得や入力等ができるようになっている。蓄積されたシニアホームの情報を笑美面のコーディネーターが入居検討者に提供すると共に、入居検討者からのフィードバックを、ケアプライムコミュニティサイトを介して運営事業者と共有している。具体的には、運営するシニアホーム毎に入居検討者が見学や入居に至らない理由等を共有することで、運営事業者に気付きの機会を提供している。
ケアプライムコミュニティサイトは、シニアライフサポート事業の展開地域でサービスが提供されており、25/10期上期末時点の登録数は8,869ホームに達している。
<シニアライフホームコンサルティングサービス事業のシニアホーム開設コンサルティング>
笑美面は、シニアライフサポートサービス事業において蓄積された入居検討の要望・ニーズに関する情報をシニアホーム運営事業者等に提供することにより、優良なシニアホームを増やすことを目的として、21年7月からケアプライム事業(25/10期よりシニアホームコンサルティングサービス事業に名称変更)を開始した。
シニアホームコンサルティングサービス事業は、現在、24年9月に設立された子会社のケアサンクによって主に近畿圏で展開されている。ケアサンクの設立に伴い、25/10期からは連結決算が開始され、シニアライフサポートサービス事業とシニアホームコンサルティングサービス事業のセグメント情報の開示も始まった。
シニアホーム運営事業者に対しては、物件情報や市場調査の提供、集客戦略の立案を、不動産オーナーに対しては、運営事業者の選定支援やスキームの検討支援、開発と保有の分離検討等を行うシニアホーム開設コンサルティングが、現在の主力サービスとなっている。シニアホーム開設コンサルティングは、シニアホーム運営を検討している不動案オーナー等とシニアホーム運営事業者をマッチングするサービスであり、ケアサンクは両者からコンサルティング料を受領している。
<シニアライフホームコンサルティングサービス事業のシニアホーム不動産流動化コンサルティング>
シニアホーム不動産流動化コンサルティングは、ケアサンクの設立に伴い、サービス提供が開始された。保有するシニアホーム不動産の売却意向を持つ不動産オーナーに対して、売却先を紹介するサービスである。
笑美面は、シニアホーム紹介サービスにおいて、数多くの事業者から紹介手数料を得ている。多数のシニアホームホームを運営している顧客企業はあるものの、業界としては寡占化が進んでいないため、売上高の1割以上を占める大手顧客は存在していない。
笑美面の主要顧客としては、SOMPOホールディングス(8630東証プライム)の連結子会社であるSOMPOケアや、ベネッセホールディングス(岡山市北区)傘下のベネッセスタイルケア等が挙げられる。
(2025年8月8日時点)
沿革(レポートから抜粋)
笑美面は、家業の不動産会社を実質的に経営していた榎並将志氏(現代表取締役社長)が、老人ホーム運営事業への参入を目的に、10年9月に大阪市に設立したトータルプロデュースを前身としている。榎並氏は自ら、老人ホームでの1カ月半に亘る現場実習を体験する中で、介護事業を不動産業の延長で経営しても成功しないと確信し、介護施設の運営を断念した。
一方、介護事業に魅力や楽しさを感じたことや、住宅では当たり前にいる物件探しや紹介のプロフェッショナルが、介護施設を探す場合はあまりいないことに事業機会を見出したことが創業の契機となった。榎並氏は、12年1月、シニアライフサポート事業を開始すると共に、トータルプロデュースの商号を笑美面に変更し、自ら代表取締役社長に就任した。
15年9月に、「大阪市トップランナー育成事業プロジェクト」に認定されると、大阪府での知名度が大きく向上した。その後は、オフィスを東京都(16年)、福岡県(17年)、神奈川県(18年)、兵庫県(20年)、埼玉県(20年)にも開設し、展開地域を広げている。
笑美面は19年に、アクサ生命保険及び住友生命保険と介護分野における業務提携を開始した。同年10月には、医療者とヘルスケアベンチャーを結ぶ日本最大規模のビジネスコンテストHealthcare Venture Knot 2019「ヘルスケア最優秀オペレーション賞」を受賞した。また、社会インパクトファンドを運営するキャピタルメディカ・ベンチャーズ(東京都千代田区)からの出資を受け、インパクト・メジャメント&マネジメントを開始した。
笑美面は21年7月に、地域に優良なシニアホームを増やすことを目的に、シニアホーム新規開設コンサルティング(ケアプライム事業)を開始した。23年3月には、シニアホーム運営事業者専用のプラットフォームであるケアプライムコミュニティサイトをリリースした。
23年10月、笑美面は、インパクト投資に取組む国内企業として初めて、東京証券取引所グロース市場に上場した。24年5月には、東京都品川区と名古屋市中区にオフィスを開設した。また、ケアプライムコミュニティサイトにおいて、シニアホームのサービス品質向上に資する商品・ソリューションを提供する他事業者の広告掲載(有償)を開始した。
(2024年10月25日時点)