6198 東証グロース(サービス業)
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事業内容(レポートから抜粋)
シニア人材活用の業務コンサルティングの性格を持ち合わせる人材サービス会社
キャリア(以下、同社)は、シニア層(高年齢者層)の生活向上に資する人材サービスを事業領域とし、シニアワーク事業とシニアケア事業の2つの事業を展開している。
いずれも、求人と求職をマッチングする人材サービスではあるが、事業コンセプトは完全に異なるため、全く別の事業と考えた方が理解しやすい。
シニアワーク事業は、同社が創業来一貫してこだわって展開してきた事業である。多くの会社が行っているような単なる人材派遣ではなく、シニア人材ならではの特徴を理解した上で、顧客企業の業務フローの変革を伴う提案を行い、シニア人材の就労機会を創出してきた。
その意味では、同社を単なる人材派遣の会社ではなく、シニア人材活用の業務コンサルティングの会社と捉えることが可能であり、このことが、同社を人材サービス企業の中でもユニークな存在としている。
シニアケア事業は、シニア層が利用する介護施設等に看護師や介護士といった有資格者を提供する事業である。
直接シニア層と関わるシニアワーク事業とは異なり、介護施設を利用するシニア層に間接的に資する人材サービスである。いったん離職した有資格者を募集する点に特徴があり、それを実現しているのが、シニアワーク事業で培われた業務フロー変革を促す提案力である。
このように、2つの事業が車の両輪となって展開してきた。
同社の事業は、高齢化社会型人材サービスの単一セグメントだが、上述の通り、シニアワーク事業とシニアケア事業の2つの事業に分類されている。
20/9期第2四半期累計期間の売上構成比は、シニアワーク事業が36.9%、シニアケア事業が63.1%となり、直近はシニアワーク事業の売上構成比の低下が続いている。
(2020年7月17日時点)
沿革(レポートから抜粋)
代表取締役社長の溝部正太氏は、人材派遣の大手であったグッドウィルに在職中、シニア人材に関して、求職側のニーズと求人側のニーズの間に大きなミスマッチが存在することに気づいた。同時に、そのミスマッチを解消することに大きな事業機会と将来性を確信した。
そこで溝部氏は、当時勤めていたグッドウィルの社内公募に対して、シニア人材を派遣するという事業を提案し、採用された。これが、同氏がシニア人材ビジネスに携わるきっかけとなっている。ただ、当時は、若年層向けの仕事に対してシニア人材のマッチングをしており、それだけでは企業とシニア人材のミスマッチは解消できなかった。
そのため、シニア人材を積極的に活用するという需要はなかなか高まらずに事業は思った通りに成長しなかった。しかしながら、この経験により、同氏は若年層向けの仕事をシニア層向けの仕事にアレンジすることの重要性に気づき、現在同社が運営するシニアワーク事業の原型となった。
溝部氏は、08年にキャリアマート(東京都新宿区)に転職後も、シニア人材を活用する事業を手掛けていた。しかし、転職直後にリーマンショックが発生し、人材関連業界全体が厳しい状況に置かれることとなった。そうした中、現取締役会長の川嶋一郎氏と出会い、09年に高齢化社会型人材サービスに特化する同社を設立する運びとなった。
当初は、リーマンショック後という業界全体が苦しい状況にあったこともあり、ビルメンテナンスやベッドメイキングといった、もとよりシニア人材の派遣が大半を占める分野に軸足を置いていた。
しかし、業界環境が落ち着きを取り戻していく過程で、若年齢層向けの仕事をシニア層向けの仕事にアレンジしてシニア人材向けの就労機会を創り出すという、当初より志向していた形の案件を手掛けていくようになった。10年のオフィス向け、12年のロジスティックス業界向け、14年の有資格シニア向けという形で分野を広げていった。
同社創業の頃より、シニア関連の事業として、介護施設向けの看護師の人材派遣を行っていた。これが現在のシニアケア事業につながっている。
同社のシニアケア事業は、離職した看護師の有資格者を介護施設の職場に復帰できるようにすることで、不足する人材を供給していくところに特徴がある。発想を転換したアプローチであったため、介護施設向けの人材紹介の中で差別化を図ることができ、順調に売上高を伸ばしていった。11/9期に全国展開を開始し、15/9期には介護士派遣も本格的に取り扱うようになった。
このように、シニアワーク事業とシニアケア事業の二本柱で成長を続けてきた同社は、16年6月に東証マザーズに上場した。資金調達以上に、シニア人材を活用する必要性を世間に訴え、市場全体の成長を目指すことが上場の一番の目的であった。
(2017年8月4日時点)