イベントレポート
新時代に生き残る飛躍的成長を遂げる企業
イノベーションによる次世代ビジネスモデルの創造
イベントレポート
イノベーションによる次世代ビジネスモデルの創造
2016年12月2日に東京証券取引所 東証ホールにおいて上場企業の経営層を対象として開催された成長支援セミナー「新時代に生き残る飛躍的成長を遂げる企業 -イノベーションによる次世代ビジネスモデルの創造-」を開催いたしました。
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成長に向けて日々邁進する上場企業50社の経営者、幹部社員が一堂に会し、先進的な取り組みにより急成長を遂げているブイキューブの間下社長や既存のビジネスモデルにとらわれず挑戦的な取り組みを行う大日本印刷の森野専務を基調講演に迎え貴重なノウハウや知見を披露していただきました。
また、パネルディスカッションにおいては、基調講演演者のお二人に加え、産官学連携による事業革新を実現してきた中村超硬 井上社長、宇宙衛星事業を立ち上げたアクセルスペース 中村社長、ベンチャー支援をライフワークにされている早稲田大学 松田名誉教授により、イノベーションによる新たなビジネスモデルの創造には何が必要なのかを活発な議論が行われ非常に有益な交流の場となりました。
6名の登壇者が語ったイノベーションに対する熱い思いもあわせて、第一回目となる証券リサーチセンターの成長支援セミナーの模様をレポートします。
株式会社ブイキューブ間下社長にブイキューブの成り立ちと急成長の要因や勘所について、ご講演をいただきました。
Web会議の国内市場はまだ小さいマーケットであるが、国内シェアNo.1を取ることで、異なる業界のNo.1と組むことができるようになる。このNo.1戦略は非常に重要である。
また、Web会議市場において国内シェアNo.1であることによって、顧客からのサービスの信頼を得る事ができている。
アジアでの事業を加速させるために、間下社長自身がシンガポールに移住して陣頭指揮をとっている。
国内の事は人間関係や仕組みが分かっているので、海外からでも背景等を理解することができる。
逆に国内から海外の報告を受けても、その本質的な問題点が理解できず、正しい判断を行うことが出来ない。
海外にいるからこそ分かる事がある。海外事業を成功させるためには、事業を成功させるキーマンを配置する事が大事であると感じている。
これまで教育や医療、金融、不動産等、様々な業界において、遠隔コミュニケーションでの対応は規制対象となっていた。
しかし、国策として規制緩和等が実現していく事によって、遠隔コミュニケーションの市場が拡がりつつある。この市場の拡大をいち早く捉え、遠隔教育や遠隔医療、ドローンをつかったコミュニケーション等、ビジネスコミュニケーションの利用シーン拡大を見込んだ各種対応を進めている。
大日本印刷株式会社森野専務に大日本印刷におけるイノベーションの実践と新たな価値の創造について、ご講演をいただきました。
1876年創業時からの「文明に資する業を営む」という志が、現在も引き継がれている。
創業当時最先端であった印刷技術を研鑽し続け、時代のニーズに柔軟に対応していく中で、週刊誌、包装製品、カラーテレビのシャドーマスク、液晶のカラーフィルタ、半導体と多チャンネルの事業で活かしていく「拡印刷」を実践してきた。
機能性を追求しながら、ヒューマンインタフェースやデザインを両立させていく所に印刷技術が生き延びる道があると考える。
社内ベンチャー制度で数多くの新規事業の企画、実行が行われてきた。新規事業の企画、評価、スタートアップを行うためには、新規事業の内容に合わせて行動形態も変えなければならない。
また、大きな成功を収めるためには、新たな挑戦に対して、失敗を許す文化と失敗を許せる仕組みが必要である。
事業が多角化している場合、他事業のしがらみ(取引先との関係等)により、撤退が遅れる可能性も考えられるため、撤退の基準を明確にしておく事も肝要である。
イノベーションは、技術のみでなくビジネスモデルやチャネルでも起こりうる。売り手と買い手の立場の違い(ビジネスモデルの違い)により、相手が価値を見出せない領域でも、価値を見出す事ができる場合がある。
買収後の企業統合(PMI)も非常に重要なプロセスである。買収した企業を無理に本体に取り込もうとすると、双方の企業文化がぶつかり、買収時に想定したイノベーションを実現できないケースが多い。
買収時の責任者がうまく交通整理をできるような体制・仕組みを考慮し、取り組む事が必要と考えている。
破壊的イノベーション時代が到来し、何十年、業界によっては何百年と続く伝統産業においても、革新的な技術に基づく先進的ビジネスモデルの登場により、劇的な構造変化が起きております。
このような状況下において、企業が持続的かつ飛躍的な成長を遂げるためのイノベーションを創出する上で、必要な考え方や取り組み課題、様々な成長ステージにおける経営者の役割、リーダーシップの在り方などを討議していただきました。
パネリストには基調講演の演者に加えて、株式会社中村超硬の井上社長、アクセルスペース株式会社の中村社長、早稲田大学の松田名誉教授を迎え、モデレーターには株式会社ICMGの船橋社長に務めていただきました。
本社が現地の意思決定を促される際、現地の現状をおざなりにした意思決定をしがちである。これは現地の感覚を理解できない事に起因する。
意思決定を行う者は、対象となる新規事業の現場を実際に体験し、肌で感じ、現状を理解したうえで意思決定をすべきである。
無から有を創り出すためには、相応の人材を配置しなければならない。
ミシンのネジを作っている下請会社から、超硬合金の加工技術を習得して高機能部品加工への転換し、世界シェアNo1のダイヤモンドノズル供給会社となった。
次の成長事業分野として「環境」「エネルギー」「医療」分野において、ものづくりによる課題解決で事業算入を図ろうとし、環境分野においては太陽電池の加工におけるダイヤモンドワイヤの事業化に至り、事業の成功をみた。
また継続して、産業技術総合研究所や東京大学等と産官学連携を迅速に推進し、新たな分野に向けた事業を加速させ、資金調達を行いながら新たなテーマへの取り組みを開始している。
イノベーションを起こすためには、組織としての背伸びが必要である。経営者自身も身の丈にあったものを考えるのではなく、背伸びして考えなければならない。勇気をもって専任スタッフを採用し、リスクマネーの調達することこそが経営者として必要である。
大日本印刷においては、スピード感のある意思決定をいかにするかという点は大きな課題である。
コーポレート・ガバナンス等によって意思決定の合理性は非常に重要視されているが、まったく新しい事業を始めようとする場合は、時に強い意思決定を必要とする。一方で、出資者(お金を出す側)は、合理性等も考えながら保守的な意思決定になりがちである。
企業がイノベーションによる新規事業を立ち上げるためには、事業のリスクを見分けながらポートフォリオを組み、リスクに応じた取り組みの仕方を実践していくことが必要である。
アクセルスペースは衛星の打ち上げ、管理に留まらず、50機の超小型衛星からなる地球観測網を構築し、この衛星データを中心としたエコシステムのプラットフォームとなることを目指している。
世界中を毎日撮影することで、宇宙画像に時間軸の価値を与え、画像から分かる情報を顧客に提供していきたい。これは将来的に未来予測ツールとしての可能性も秘めている。
宇宙事業開発のインフラが出来上がり、AI技術が進歩した、「今」しか出来ない事業であると考えている。
新規事業部が設置されている企業は数多くあるが、新規事業を行うに足る予算と権限が与えられていない事が多い。競合や協業先となるベンチャー企業のスピード感に合わせて意思決定ができるチームが必要である。
世代交代と事業環境の変化が進む中で、先を見越して何を仕込むか、そのためにどういう組織を作るかといった戦略的な取り組みが非常に重要である。
中小企業は社内の経営資源が限られるケースが多い。そのような中で、中村超硬社は、外部の経営資源をうまく活用している典型的な事例である。
多くの企業がイノベーションを起こすために、優秀な人材を獲得しようとしているが、質の高い技術やサービスをしっかりと発信していくことで志をもった優秀な人材が集まってくる。
多くの企業が新規事業を立ち上げているが、成功している企業はオーナー企業であることが多い。
これは周りの意見に左右されず、迅速な意思決定を行うことができるからである。
大企業の場合、部長、役員、取締役会と最低三段階での意思決定が必要となるが、意思決定が上位になればなるほど、現場(顧客)の感覚から離れていく。
イノベーションを起こすためには、顧客から近い人達がチームを組み、意思決定ができる予算と権限を与える事が不可欠である。
パネルディスカッション終了後には、参加者や登壇者を交えた懇親会が催され、イノベーションを実践するために企業、経営者がどうあるべきかについて活発な議論がなされ、参加された多くの上場企業の経営者間において、親睦を深めていただきました。
たくさんのご来場ありがとうございました。
本日の基調講演、パネルディスカッションで貴重なお話をお聞きし、懇親会で経営者間の意見交換をしていただくことによって、イノベーションを実現するための体制、仕組、経営者の考え方について、より踏み込んだ検討、議論ができたのではないかと思います。本日のセミナーや懇親会での内容を踏まえて、イノベーションの創出について、さらに深堀した議論ができるよう、2月21日にワークショップを開催させていただく予定です。奮ってご応募ください。
ワークショップ
新時代を生き残るイノベーションの探求
-破壊的イノベーションの時代にいかにグローバルで勝ち抜くか-
https://holistic-r.org/event/w20170221/