6166 東証グロース(機械)
中村超硬
企業情報
事業内容(レポートから抜粋)
太陽電池用のウエハ切断に用いられるダイヤモンドワイヤの製造が主力
中村超硬(以下、同社)は、ダイヤモンドの微細加工技術を有するメーカーで、現在は、太陽電池用のシリコンウエハのスライス加工の工程で用いられるダイヤモンドワイヤの開発、製造、販売が主力事業となっている。
太陽電池のパネルに用いられるシリコンウエハは、シリコンインゴットからワイヤを用いて切り出される。
太陽電池のパネルメーカーからすると、シリコンウエハ1枚当たりのコストを抑えることが価格競争力に直結するため、いかに薄く切り出すか(いかに多くのウエハを切り出すか)が競争上重要となる。それを左右するワイヤは、太陽電池の製造過程の中で重要な部品と言える。
シリコンインゴットの切断方法では、従来の「遊離砥粒方式」から「固定砥粒方式」へのシフトが起きている。
ピアノ線にダイヤモンド粒をロー付けして固定する同社のダイヤモンドワイヤは、「固定砥粒方式」で用いられるものである。現在は、「固定砥粒方式」が主流となっている模様である。
同社は可能性のあるテーマを抽出し、研究開発を続けた後に、事業化するという一連の流れを成長エンジンとしてきた。
そのため、過去には何度か大幅な事業転換を実行してきた。ダイヤモンドワイヤも、ダイヤモンドの微細加工技術をベースに事業化され、主力事業になるまで成長した。
現在も、複数の新規事業が本格事業化に向けて進行している。事業の新陳代謝を行う機能を有し、場合によっては事業転換も厭わない事業創出力が同社の強みである。
同社の事業は、3つのセグメントで構成されている。そのうち、ダイヤモンドワイヤの製造、販売を行う電子材料スライス周辺事業が中心であり、業績が大きく回復した18/3期では、同事業が売上高の80%以上を占めている。
(2018年10月5日時点)
沿革(レポートから抜粋)
同社の前身は、1954年に中村繁氏によって創業された中村鉄工所である。創業時の事業は、ミシン用の小ネジの製造であった。
その後、ベアリングの製造工程において耐摩耗性が求められる部品を超硬合金で製造することに挑戦し、64年に超硬合金の加工の事業に参入した。この挑戦は成功し、超硬部品を製造する企業として、70年に現在の株式会社中村超硬が設立され、高付加価値品の製造業へと転換した。
88年、耐摩耗性素材の原料としてダイヤモンドに着目し、ダイヤモンド加工へ進出した。そして、デジタル家電の普及に伴う電子部品のモジュール化、チップ化の潮流に乗り、チップ製造に用いるチップマウンターの部品であるノズルのダイヤモンド化に成功した。
01年の大阪府堺市の工場(MACセンター、現本社)設立による生産能力拡大を経て、このダイヤモンドノズルは販売金額が累計100億円となる同社のヒット製品となった。リーマンショック前の06年頃までの同社の稼ぎ頭となった。
ダイヤモンドノズルのヒットの裏で、04年頃より次の成長分野を創り出すべく、環境、エネルギー、医療の分野に絞り込み、その中からいくつかのテーマで研究開発に着手した。そのひとつが、シリコンインゴットを切断してシリコンウエハにするダイヤモンドワイヤであった。
事業転換後、ダイヤモンドワイヤを本格的に販売しようとした矢先に起きたのが、ダイヤモンドワイヤによって切断されるシリコンウエハが多く用いられる太陽電池業界の不況である。13年のことである。
これにより業績は一旦落ち込むが、スライス加工方法がダイヤモンドワイヤを使用する固定砥粒方式へのシフトが進んだことや、ワイヤの細線化という業界の技術的な潮流に乗れたことによって危機を乗り越え、16/3期は過去最高の売上高となった。
(2017年9月29日時点)